カテゴリ:東北( 8 )

にぼし亭@青森県弘前市

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 初の青森県レポートです。青森のラーメンにもいくつかの系譜があるようですがその中で最もコアなのが濃厚煮干系と言われる一群です。その代表となるのが弘前から北へ一駅の撫牛子にある「たかはし中華そば店」です。話はそれますがこの「撫牛子」という漢字何と読むかご存じでしょうか。恐らく地元の方以外で読める方は少ないでしょう。この漢字「ないじょうし」と読みます。当初何とかここに行こうと日程を調整していたのですが、バスでの移動方法がどうしても分からなくて地元のバス会社に電話で尋ねる事にしました。しかし、漢字でしか記載していないこの「撫牛子」の地名がどうしても読めなくてその問い合わせがなかなかスムーズに行かずに困り果てたと言う経緯がありました。話を戻して、結局時間的な都合でどうしても「たかはし中華そば店」行きが叶わなかったので、同じく濃厚煮干し系でオープン後間もないながら高評価を得ているこちらの店に突撃となりました。その名もずばり「にぼし亭」です。こちらのお店どうも秋田県大館市の孝百と店のプロデュースだそうですが「たかはし」に近いテイストが楽しめるという事で話題になっています。
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 店は階段を上がった2階部分で厨房と取り囲むカウンターとテーブルが窮屈に置かれた部屋と10畳ぐらいのスペースにポツンとテーブルが一客だけ置かれた部屋があり、だだっ広い側の部屋は喫煙スペースになっているのか何かガランとしていてスペースが勿体ない気がしました。入店時、満席だった為その空いたスペースで立って待っていたのですが店の方は殆ど無関心で黙々と厨房で作業をしているようでした。青森滞在中に少しずつ分かってきたのですが、どうも青森人は基本無口でこのような対応は特別な事では無いようです。待つ事しばし、ようやくだだっ広い側のテーブルが開いたので着席です。
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 メニューはにぼし中華の一系統のみとトッピングオプションが少々程度です。基本の「にぼし中華並」をオーダーです。
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 煮干し中華(並)(700円)です。まず目を引くのはその色合いです。スープはどす黒く深緑色に濁っています。そしてよく見るとその中に細かい銀鱗がラメのように煌めいているのが見えます。旨味もえぐみも全て一緒に粉砕してスープに投げ込んだというか何とも大胆なスープです。文字通り他の土地では味わう事が出来ないような煮干し一色のスープですがこれが旨いという人にはたまらないというのも頷けます。
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 煮干し責めのスープですがこれだけではつらいという場合テーブルに正油だれが用意されています。これを足すとスープが少しマイルドに変化します。前半何も入れず、後半はこれを加えてと言う食べ方が一度で二度楽しめるのでお勧めです。
 これだけのインパクトの煮干しラーメンは山陰にはまず無いか有っても即刻淘汰されるので難しいでしょう。しかし、個人的にはもし近くにあればまた食べてみたいラーメンでした。しばらく煮干しに口の中が痺れたような感覚、たまには良い物です。

店名 麺処にぼし亭
TEL 080-5568-4453
住所 青森県弘前市上白銀町1-10 2F
営業時間 11:00~15:00
定休日 木曜日
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by emozione | 2010-04-03 12:50 | 東北

かまや食堂@須賀川

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 今回の東北行脚、最後の店は福島県須賀川市の「かまや食堂」です。この店は今回のテーマ老舗探訪の中でもぶっちぎりの歴史を持つ店、なんと創業150年、5代に渡って続く店だそうです。場所は分かりやすく郡山から説明すると、まずJR東北本線上りで2駅、須賀川駅で下車して駅正面からまっすぐ南に向かう新町街道を南下、約1.5kmのところで交差する石川街道を右折、そのまま約500mの須賀川署の向かいに有ります。向かいの角に「かどや」というお蕎麦屋さんがあって一瞬間違えそうになりながら無事到着です。建物は流石に150年は経っていないと思いますが、古き良き昭和を感じさせる外観は圧巻です。
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 色あせた暖簾をくぐると中は薄暗い中にも戦後の高度経済成長期の息吹を感じさせるノスタルジー溢れる空間に昔懐かしい蕎麦屋を思わせるテーブル席と座敷席、各座席にはそれぞれ1組ずつの先客が居て相席かと覚悟を決めかけた時、厨房入口に最も近い座敷席が空いているのを発見、「ここいいですか?」と尋ねると「どうぞ」との事で無事着席です。
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 早速メニューを確認、ついでに駐車場もあるようなので車で来店の方のために画像をアップしておきます。基本は元々蕎麦屋だったようで今でも日本そばのメニューがありますが、見渡す限り客の全てが中華そばをオーダーしているようです。当然デフォの中華そばと春秋冬限定の味付け玉子をオーダーしました。
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 中華そば(550円)+味付け玉子(150円)です。少し脂の浮く透明感ある濃口醤油系スープにチャーシュー、ナルト、海苔、ほうれん草、ネギとオプションの玉子のトッピングです。麺はややウェーブした中細麺です。見た目は先日の鎌田食堂や日光軒に近い物がありますが、実際に口にしてみるとこれはまるで別物です。一言で言うと節系ガツンの超インパクト魚介系スープ、これは北関東系の節系ガツンのさらに上を行くインパクトです。濃厚魚介ではこれまで埼玉の頑者や大阪の洛二神が印象に残っていますが、魚介インパクトと言う意味では共通する物の全体の印象としては全く違う物となっています。恐らく醤油だれの性格による物と思われますが、南東北の素朴な明るさ、誤解を恐れずに表現すると三味線やお囃子の音色が聞こえてきそうな、そんな印象を与える香りです。麺は中細のウェーブ麺、関東の今はやりの店なら何も考えずに極太麺を使用する所でしょうが、この麺はスープを旨く絡め取ってこのスープの持つ強力な個性を活かしています。味付け玉子の茹で加減も味付けも絶妙です。それらが相まって、他では味わう事のできないここならではの、そして間違いなく旨いと思わせる一品に仕上がっているのには恐れ入ります。
 この店の歴史は150年と言う事ですが、中華そばがメニューに加わったのは3代目からとの事、均等に割ると90年ぐらい前からこの味が続いているという計算になるのでしょうか。それほどの歴史がありながら、その味に微塵も陳腐さを感じさせない、むしろ最新のトレンドのど真ん中を行っていると言っても過言ではないテイストは見事としか言いようがありません。今まで色々と食べ歩いた中では間違いなく5本の指に入る逸品だと思われます。地理的に遠すぎるのが残念でなりません。

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by emozione | 2009-01-26 12:10 | 東北

五福星@仙台

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 宮城のラーメン2店目は仙台市の郊外、仙台市泉区の人気店五福星(ウーフーシン)です。仙台市内から徒歩で向かう場合、仙台市営地下鉄南北線に乗って泉中央駅下車、地上に上がって東西方向に走る県道35号線をひたすら西に20分ぐらい歩いた所にあります。夜の部の開店時間は18:00からで、店に到着したのはその20分ぐらい前でした。店の入口にノートがあって到着順に名前と車のナンバーを記帳します。車で来店の人は記名さえしておけば暖かい車内で待つ事が出来る配慮です。徒歩の私は仕方が無いので駐車場内をブラブラして開店を待ちます。すると駐車場の片隅にドッグパーキングなるものを発見、どうやら犬連れのお客さんのために飼い主さんがラーメンを食べている間犬を繋いで置く場所のようです。これなら暑い季節でも犬の熱中症を心配しなくても良さそうです。
 そうこうする内に開店前になって店員の動きが慌しくなり出入りも多くなります。そして開店まで7分となった所で、「開店までまだ少し時間がありますが、寒いので中でお待ち下さい。」と招き入れられました。他の客も含め記帳順に席を決めて案内されます。そして店員のお姉さんから全員に向かってオーダー順とメニューについて丁寧な説明がされました。その話を参考にしたりメニュー表を眺めたりしながら開店時間を待ちます。そして間もなく開店時間を迎え入店順にオーダーがとられます。この日は日曜日だったため週末数量限定の熟玉と言って4日間かけて作られる味付け玉子があると言うことで、これと基本のラーメンをオーダーしました。
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 オーダーから程無く、まず熟玉(157円)が別皿で運ばれてきました。「真ん中に切れ目が入っているので、箸で割って前菜として食べて下さい。」との事、てっきりラーメンに乗せて出されると思っていたので前菜というのは少し意外でした。言われるままに箸で割ってみると白身はしっかり黄身はトロトロの味付け玉子です。黄身の部分を少しだけ口にしてみると、かなり濃厚な味付けです。基本は燻製玉子ですが、八角でしょうか、強烈な甘みのある香辛料の香りがします。これ自体大変美味なのですが、これを食べてしまうと、ラーメンの味の印象が変わってしまうので、残りは後でいただくことにしました。
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 そしてしばらくして、ラーメン(599円)の登場です。わずかに濁りのある豚骨醤油系のスープにチャーシュー、ネギ、メンマのトッピング。麺は太目の平打ち縮れ麺です。スープは皮膚系の素材が使われているのでしょうか、膠の香りを感じます。岡山の昔ながらの豚骨醤油系スープに近い印象です。関東より東ではこの手の味にあまり出合った事がないのですが、この辺がよく「好みの分かれる」と評される所以なのでしょうか。ここ数日東北のラーメンを食べ歩いた身には、どこか懐かしさを感じる味でした。
 美味しくラーメンをいただいた後お会計の際に、もとより乗る気はなかったのですが他の人の参考のためと思って近くにバス停があるか尋ねた所、「徒歩でいらしたのですか?」という事で「ハイ」と答えると、バス停の位置の説明を受けた上に「タクシーをお呼びしましょうか」とのご心配をいただきました。思えば、開店前に寒い中外で待たなくて良いようにノートが置いてあったり、犬連れの客のためドッグパーキングが設置してあったり、車の無い客が外で待っているのを見て(かどうか分かりませんが)早めに入店を許したり、分かりやすく無駄なく丁寧にメニューやオーダー順に付いての説明があったり、客に対する心配りを随所に感じさせられました。この点は全国色々なラーメン店を渡り歩いた中でも特筆に価するものだったと思います。同じ宮城でもお昼に伺ったラーメン店と好対照なのが面白いですね。

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by emozione | 2009-01-25 18:00 | 東北

いろは食堂@岩出山

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 東北新幹線やまびこ50号で盛岡を出発して宮城県に向かいます。途中古川駅で途中下車してJR陸羽東線に乗り換えて岩出山駅に向かうつもりでしたが列車の接続時間が1時間6分、岩出山駅への到着が12:30となります。嫌な予感がしたので思い切って駅前からタクシーで向かうことにしました。片道4000円弱、痛い出費ですが結果的にはこれが功を奏しました。向かった先は、知る人ぞ知る片田舎の行列店「いろは食堂」本店です。この日はちょうど日曜日のお昼前、駅前のタクシーで「岩出山」と告げて乗車、途中「どこ行くの」「ラーメン屋っす。いろは食堂」「いろは食堂なら古川の市内にもあるよ」「いえ本店にいきたんです」などと会話しながら、車は市街地を出て郊外へと向かいます。「色んなとこ食べ歩いてんの?」「ええ、沖縄から北海道まで・・」運ちゃんもラーメン好きだとかでラーメン談義をしながら着いた先は人気の無い小さな駅前の集落、果たしてこんな所に行列店が有るのかと思いながら更に細かい路地に入ると、目の前の広い駐車場に何やら行列がありました。「ここです。」と告げられお礼を言ってタクシーを降車、早速行列の最後尾に並ぶことにしました。
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 日曜日と有って、行列は全部で30~40人ぐらい、「ここを先頭に」と書かれた場所を先頭に離れの軒下に沿って駐車場にはみ出す勢いで続いています。しかし都会の行列と違って皆、何となくのんびりムードで行列を楽しんでいるようにさえ見えます。それとなく話に耳を傾けると、庄内あたりから来たと思われる人、埼玉から来たと思われるカップルなど流石は有名店、しかし多分松江から来た自分が優勝に違いないと心の中で勝利者宣言をしながらしばし行列を楽しみます。
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 気温は低いものの日差しが暖かい小春日和、行列をよそ目に何匹かの猫が庭を散策しています。遠くから肉を揚げる香ばしい匂いが漂ってきます。そんなのんびりムードを劈くように、行列の先にある店の入口から「次何名さま?」という慌しいおばさんの声が響きます。そうです、いろは食堂の名物おばさんです。列も残りも少なくなった頃、おばさんが店の外に飛び出してきて行列の人数を数え始めます。「今日は忙しかったからなあ。」というような事をつぶやきながら、どうやら今並んでいる人までで麺が終了となるようです。時刻を見ると12時10分、タクシーに乗っていなければアウトでした。その後も何組かの来店がありましたが皆諦めて引き返して行きます。その姿を横目に待つことしばし、ついに順番が・・「次何名さま?」「一名です」「どうぞ」の声に招かれて入店、すぐにおばさんの仕切りが始まります。
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 「貴方はここ。貴方達は奥のテーブル、外側の通路を通って下さいね。貴方はこの人の横・・・」とまるで交通管制官のようです。この店ではこのおばさんの指示には絶対服従が掟、客も皆それを承知で女王様に従うマ○ヒストの様にそれを楽しんでいる様です。従ってオーダーも勝手に言ってはいけません。おばさんがオーダーを取りたい順に、(これが決して入店順ではない)オーダーを取っていきます。この時私は実はオーダーを悩んでいました。普通の「らあめん」にするか「特製いろはらあめん」にするか。おばさんはそれを見透かしたのでしょうか、後から入った客の注文をどんどんとっていくのにこちらには聞きに来てくれません。決して忙しいからではなく一瞬何をするでもない時間が訪れてもこちらには来ません。忘れられたか?と思い手を上げてアピールしようとすると、「分かってる、分かってる」と窘められ、それでもすぐに来てくれません。諦めかけているとようやくオーダーを取ってくれました。普通の人より余分に女王様の愛のムチを味わう事ができたのは幸運だったのかな。
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 オーダーしたのは「特製いろはらあめん」です。通常は初めての店ではデフォのメニューをいただくのですが、恐らく一生の中で二度と行く機会が無いだろうという店ですので今回だけはこの店独自の特色あるメニューをいただくことにしました。らあめんを待つ間付け出しの漬け物が配られます。これをチビチビやりながら待つ事しばし、特製らあめんが出来上がりました。
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 特製いろはらあめん(900円)です。濃い目の醤油系スープにメンマとネギ、そして特製ならではのパーコーと呼ばれる揚げた豚肉が乗ります。このパーコー、焼けばそのままポークステーキになる様な厚みのある豚肉を一枚まる揚げにしてあります。よくグローブ状と例えられるように掌状に切込みが入れて有りますが箸で切るのは不可能でそのまま、まる齧りにしなければなりません。また、相当の油分を持っていてこれがスープに浸み出してコッテリ感を強調しています。そもそものスープベースは鶏のようですがこの豚脂と揚げ油によってかなりコテコテ凶暴なスープに変貌しているようです。麺は細めのストレートで白っぽくやや扁平した印象です。よく冷麦に例えられますが、尾道系の麺に近い印象を受けました。
 考察としては、辺鄙度、行列、おばさんのキャラ、レトロな建物の雰囲気、パーコーのインパクトとアトラクションとしての要素には事欠かない、それが人々の心を鷲掴みにして長く人気を保っているのではないのでしょうか。そんな印象のお店でした。

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by emozione | 2009-01-25 11:40 | 東北

日光軒@盛岡

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 盛岡最終日の夜、岩手最後のラーメンは盛岡市大通りにある日光軒です。盛岡市内でも最も賑やかな繁華街、「大通り」と通称「映画館通り」の交差点から北に2本目の路地を少し入った所に位置します。盛岡では前述の中河と並んで古くから営業する老舗として知られていますが正確な創業年はわかりませんでした。
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 間口3mにも満たない様な狭く長細い店内はL字型のカウンター席のみ10席ほどで何故か壁には色とりどりの古いマッチの空き箱が所狭しと貼り付けてあります。入口のすぐ上に置かれた年代物のカラーテレビが色褪せた映像を映し出しているのが妙に店の雰囲気にマッチしています。夕方5時と夕食にしては少し早い時間だったためか入店時には他の客はまだ誰も居ませんでしたがその後続々とお客さんが入ってきました。入口付近と一番奥に比較的新しいメニューボードがあって、ラーメン、もやしラーメン、みそラーメン、ワンタンメンなどのメニューバリエーションがあるようですが、勿論ラーメンをオーダーです。水はセルフになっているようで入口近くの給水器まで自分で酌みに行って待つ事しばし、ラーメンの登場です。
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 ラーメン(500円)です。先の3店の中では「かまだ食堂」のラーメンに近い黒っぽい色合いのスープにチャーシュー大小合わせて4枚、海苔、メンマ、ネギのスタンダードなトッピングです。スープは岩手で食べたラーメンの中ではどちらかというと動物系のベースが強く甘みのある醤油味の中に、ほのかに酸味とも苦味とも取れる独特な香りを感じます。チャーシューはバラ肉で脂身が多めでジューシー、情報によると通常は3枚入っているようですが今回は小さめだったので4枚にしたのではないでしょうか。麺はやはり細めのウェーブ麺ですが、縮れ具合は弱め、岩手ではこの様な麺が好まれているようです。岩手のラーメンの中ではしっかり味の一杯でした。
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by emozione | 2009-01-24 17:05 | 東北

中河@盛岡

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 岩手のラーメン店3店目は盛岡市街地の北東のはずれ本町通1丁目の中河です。盛岡駅から徒歩で30分程度の距離で、普通の方は市内循環バスの「でんでんむし」に乗って「上の橋」バス停で降りるのが良さそうです。中河は屋台の時代を経て昭和42年に現在の場所に店を構えたそうで屋台時代を含めると50年を超える歴史を持ったこれも超のつく老舗と言って良さそうです。勘の鋭い皆さんはお気づきの事と思いますが、そうです、今回の東北行脚は老舗ラーメン店シリーズとなっております。その中でも中河は日曜・祝日が定休で営業時間が11:00~16:00という事で基本平日の昼のみ、アクセス困難度が高い店となっています。その反面、地元ではかなりの人気店で、お昼時ともなると行列必至、カウンターと基本相席が原則のテーブル席2脚のみで、座りきれない場合の順番待ちは店内の奥側で列になるのが慣わしのようです。メニューは中華そばのみ、オプションはおろか大小のバリエーションもありません。従って、入店時に人数を告げるだけでオーダーが成立したことになります。水の入ったコップに割り箸を乗せて出されるのもこの店独特のスタイルです。その割り箸を乗せたコップを前に待つ事しばし、中華そばの登場です。
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 中華そば(550円)です。綺麗に澄んだ黄金色のスープに小さめのチャーシュー2枚、海苔、メンマ、ネギが行儀良く配置されています。具の配置はこの店独特でこのラーメンの性格をそのまま現したかの如くで面白いです。スープはこれまで2店と同様、魚介系中心の醤油味ですが、抑制の効いた薄口で端正な味です。独特の甘みもありますが仄かで余り後に残るタイプではありません。麺は黄色が鮮やかな細縮れ麺でつるっとした食感の中にかん水の香りを感じます。トータルで言えることは一言、全ての無駄や飾り気を排して必要最低限の物を品行方正に作り上げた中華そばと言った所でしょうか。首尾一貫した姿勢の伝わる一品でした。

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by emozione | 2009-01-24 12:10 | 東北

かまだ食堂@盛岡

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 盛岡市街地の北のはずれ、JR上盛岡駅近くの盛岡市本通にある鎌田食堂(かまだ食堂)です。盛岡駅からの徒歩での所要時間は道に迷わなければ20程度です。昭和48年創業、蕎麦がメインのジモピーな雰囲気あふれる大衆食堂です。暖簾をくぐると天井の低い店内に、テーブル席4席と2人座れば一杯になる程度の座敷が一つ、入店には気が付いている筈なのに何の声もかからないのでしばらく立ちん棒をしていましたが、厨房の入口付近に一席だけ空いたテーブルと見つけて着席です。地元ではタクシーの運転手が通う店として知られていて、事実この日もタクシーの運ちゃんと思しき人が一人、あとはこれもジモピーらしいオジサンたちばかりでした。
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 メニューは生そば類、丼類、中華類、定食類にジャンル分けされていて品数豊富ですが、やはりラーメンが有名なのでしょうか、地元のオジサンたちを見ても皆ラーメンを頼んでいるようです。ようやくお茶を持ってきたおばさんにラーメンの注文を告げます。おばさんの愛想が多少悪いのもこの手の店ではご愛嬌といった所でしょうか。
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 という事で出来ました。ラーメン(450円)です。黒に近いが透明感のある醤油系のスープにチャーシュー、メンマ、海苔、ネギのトッピング、麺は細めの縮れ麺です。何故か沢庵がおまけに付きます。スープは蕎麦屋らしく煮干の様な独特の甘みを持つ魚介系のスープにチャーシュー、海苔、メンマ、ネギのトッピング、麺は細めの縮れ麺となっています。醤油の色こそ違いますが、煮干の甘みを持った醤油系スープや細めの縮れ麺は、昼に食べた竹駒と何か共通性を感じさせます。竹駒に比べてやや魚介ベースがマイルドといった所でしょうか。チャーシューは少し醤油辛い気がしましたが許容の範囲でしょうか。地元で愛される大衆食堂系ラーメン、大変結構なお味でした。

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by emozione | 2009-01-23 18:40 | 東北

竹駒@花巻

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 一生のうち一度は行ってみたいと思っていたラーメン店があります。岩手県花巻市の竹駒、ラーメンを「かまど」で作る事で知られる昭和29年創業の超老舗です。まずはその外観を目にした瞬間から古き良き時代へのタイムスリップが始まります。
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55年の時代を遡るタイムトンネルの入口、その向こう側にある時が流れる事を忘れてしまった空間へと誘います。
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中に一歩足を踏み入れると、扉の外側で心に思い描いていた通りの風景、その主と薪ストーブの暖かい炎がやさしく出迎えてくれます。
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メニューは中華そば(350円)と中華そば大盛り(450円)と飲み物だけ、値段までタイムスリップしています。中華そばをお願いするのは、なんだか申し訳ない気分にさえなります。
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注文を受けると主であるお婆さんはかまどの元へ、静かな店内にパチパチと薪のはじける音が響きます。
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程無くして出来上がった中華そば、長い年月の間に傾いたテーブルの上で丼は傾き中身は片側に寄ってしまっています。その丼の中に佇む琥珀色に澄んだスープを口にしてみると、端正で抑制の効いた醤油味の中に煮干でしょうか、独特の甘みを持った魚介系の風味を感じます。それが一見何の変哲もないに見える中華そばを優しく、しかし力強くしっかりと支えているように感じます。決してでしゃばる事無く物静かに、でもしっかり麺の旨みを引き立てる姿は、まるで飾らない中に優しさと芯の強さを以て家族を支える東北の女性のように思えます。
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最後にお願いをして「かまど」を撮影させていただきました。向かって左側の釜は現在壊れて使えないそうで、右側の釜を使っているそうです。「創業当事から変わらない作り方なんですね」と尋ねると、なんと「かまど」はリニューアル後の姿で、当初は七輪を使用していたのだそうです。いつまでも、このかまどに火が絶えることが無いよう願ってやみません。

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by emozione | 2009-01-23 13:50 | 東北