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福寿@笹塚 東京ノスタルジックラーメン

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 日本最古のラーメン店はいったいどこだったのでしょう。かつては1910年創業、東京浅草にある「来々軒」と言う店が始めたラーメンが日本最古と言われてきましたが、現在は北海道函館にあった中華料理店「養和軒」が1884年に新聞広告を出した「南京そば」が日本最古のラーメンの記録ではないかと言われています。残念ながら両店ともすでに無くなっていますが「来々軒」については移転や代替わりをしながらも平成6年まで現存していたそうです。一方、現存する最古の店は1912年創業、兵庫県尼崎市の「大貫本店」と言われています。これも、以前にご紹介した福島県須賀川市の「かまや食堂」が創業150年と言われていますので店自体の歴史からするとこちらの方が古いのかも知れません。ただ、「かまや食堂」は元々そば屋が土台でラーメンの提供は3代目から、と言う事でランキングから除外されているのかも知れません。東京に限って言えば、某番組調べでは最古が1914年創業の「新川大勝軒飯店」、2番目が1929年創業の1966年東銀座「萬福」、3番目が1945年創業の「栄屋ミルクホール 」、4番目が1966年創業の神田神保町「伊峡」だったそうですが、調べてみると1916年創業の「こんどう軒@日本橋」、1924年創業の「大勝軒@馬喰横山」、1931年創業の「春木屋@荻窪」、1931年創業「日本橋たいめいけん」、1945年創業の「田丸@目黒」など他にも老舗がありそうです。
 それでは建物としての古さはどうでしょうか。明らかに建て替えている物を除いて、確認が取れない物も含めて下にまとめてみました。

1924.大勝軒(東京・馬喰横山)恐らく建て替え
1933.大勝軒(東京・三越前)昭和32年建て替え
1938.ホープ軒本舗(東京・吉祥寺)不明
1945.栄屋ミルクホール(東京・神田)店内のみ改装
1947.漢珍亭(東京・荻窪)不明
1947.丸長(東京・荻窪)不明
1948.若月(東京・新宿)恐らく現存

と言う事は1951年創業の「福寿@笹塚」は現存するラーメン店の建物としては最も古い部類に入ると言う事が分かります。
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 角を曲がって横手から見るとさらにその古さが際立っているのが分かります。
 さてこの店への訪問ですが実はかなり困難な問題を抱えていました。帰りの飛行機の時刻を考えると16時頃までに羽田空港に着いていなければならなかったのです。この店の営業時間は公称13:30~20:00となっているので笹塚から羽田まで1時間かかるとしても十分時間があるように思うのですが、実はこの店開店時間が大幅にずれ込む事で有名なのです。万一、開店時間が3時を過ぎるようなら(そのような事も珍しくないそうです)食べるのを断念しなければならないリスクがあります。しかし意を決して、この日はここ一食に絞って午前中は秋葉原で時間つぶしです。そして午後2時を目標に笹塚へ、駅を出て商店街十号坂商店街を北進して一番端の角にその店はありました。到着は1時50分頃、しかしやはり店は閉まっていました。辺りでしばらく時間を潰して待つ事しばし、しかし二時になっても一向に開く気配はありません。徐々に諦めムードが漂う中、ダメ元で店に電話をしてみました。すると「もうすぐ開けるから」の返事。更に待つ事10分程で店が開きました。何とか飛行機に間に合いそうです。
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 と言う事でこの日の一番客となりました。流石に東京最古級の店内は圧巻で、なんと麺茹でに使用されているのは今なお現役で働く「かまど」。かまどで炊くラーメンは「竹駒@花巻」以来です。奥の棚には何やら昭和のグッズが並んでいて雰囲気を盛り上げています。
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 メニュー(御品書)も趣があって良いですね。チャーシューが「チャシュウ」になっている所がたまりません。ラーメンの部とワンタンの部に分かれていますが、確かラーメン創世記の浅草「来々軒」もラーメンとワンタンを提供していたそうで、古い東京のラーメン店ではワンタンはポピュラーなメニューだったのかも知れません。普段、初訪問店では基本のメニューをいただくのですが、やはりここは歴史を考えても是非ワンタンを合わせていただいておきたいと考え「ワンタンメン」、にするべき所ですが、ついどうせなら玉子もと欲張ってしまった結果口に出してしまったメニューは「玉子ワンタン」。するとご主人が「玉子ワンタンはラーメンは入らないよ。ラーメンで玉子が入っているのは五目ラーメンだけだよ。」と言うので思わず「じゃあそれで」と頼んでしまいました。
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 結果出てきたのがこちらです。五目ラーメン(630円)。何と確かに玉子は入っていますが、肝心なワンタンは入っていないではありませんか。おまけにモヤシやらキクラゲやら余分な物が入っているではありませんか。これでは元々のラーメンの味を邪魔してしまうかも知れない、明らかにセレクトミスです。ワンタンメンにして置くんだった。しかし、もう後戻りできないのでこれをいただくことにします。食べてみると意外と具材がラーメンの邪魔をしていない事に一安心です。何よりも、甘辛い関東系の醤油の風味が洗練されていて少しの陳腐さも感じさせないスープはむしろ新鮮でさえ有ります。細めの縮れ麺も小気味よい歯ごたえで思わず心の中で一言「なかなかやるじゃん!」。瞬く間に完食でした。
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 完食のご褒美は丼の底に書かれた「日本一」の文字。なんだかこの時間勝負に勝ったような気分になりながら店を後にしたのでした。

店名 福寿 (ふくじゅ)
TEL 03-3377-2615
住所 東京都渋谷区笹塚3-19-1
営業時間 13:30~20:00
    (平日は15:00ごろになる可能性あり)
定休日 火曜日


by emozione | 2010-05-31 14:10 | 関東