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かまや食堂@須賀川

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 今回の東北行脚、最後の店は福島県須賀川市の「かまや食堂」です。この店は今回のテーマ老舗探訪の中でもぶっちぎりの歴史を持つ店、なんと創業150年、5代に渡って続く店だそうです。場所は分かりやすく郡山から説明すると、まずJR東北本線上りで2駅、須賀川駅で下車して駅正面からまっすぐ南に向かう新町街道を南下、約1.5kmのところで交差する石川街道を右折、そのまま約500mの須賀川署の向かいに有ります。向かいの角に「かどや」というお蕎麦屋さんがあって一瞬間違えそうになりながら無事到着です。建物は流石に150年は経っていないと思いますが、古き良き昭和を感じさせる外観は圧巻です。
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 色あせた暖簾をくぐると中は薄暗い中にも戦後の高度経済成長期の息吹を感じさせるノスタルジー溢れる空間に昔懐かしい蕎麦屋を思わせるテーブル席と座敷席、各座席にはそれぞれ1組ずつの先客が居て相席かと覚悟を決めかけた時、厨房入口に最も近い座敷席が空いているのを発見、「ここいいですか?」と尋ねると「どうぞ」との事で無事着席です。
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 早速メニューを確認、ついでに駐車場もあるようなので車で来店の方のために画像をアップしておきます。基本は元々蕎麦屋だったようで今でも日本そばのメニューがありますが、見渡す限り客の全てが中華そばをオーダーしているようです。当然デフォの中華そばと春秋冬限定の味付け玉子をオーダーしました。
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 中華そば(550円)+味付け玉子(150円)です。少し脂の浮く透明感ある濃口醤油系スープにチャーシュー、ナルト、海苔、ほうれん草、ネギとオプションの玉子のトッピングです。麺はややウェーブした中細麺です。見た目は先日の鎌田食堂や日光軒に近い物がありますが、実際に口にしてみるとこれはまるで別物です。一言で言うと節系ガツンの超インパクト魚介系スープ、これは北関東系の節系ガツンのさらに上を行くインパクトです。濃厚魚介ではこれまで埼玉の頑者や大阪の洛二神が印象に残っていますが、魚介インパクトと言う意味では共通する物の全体の印象としては全く違う物となっています。恐らく醤油だれの性格による物と思われますが、南東北の素朴な明るさ、誤解を恐れずに表現すると三味線やお囃子の音色が聞こえてきそうな、そんな印象を与える香りです。麺は中細のウェーブ麺、関東の今はやりの店なら何も考えずに極太麺を使用する所でしょうが、この麺はスープを旨く絡め取ってこのスープの持つ強力な個性を活かしています。味付け玉子の茹で加減も味付けも絶妙です。それらが相まって、他では味わう事のできないここならではの、そして間違いなく旨いと思わせる一品に仕上がっているのには恐れ入ります。
 この店の歴史は150年と言う事ですが、中華そばがメニューに加わったのは3代目からとの事、均等に割ると90年ぐらい前からこの味が続いているという計算になるのでしょうか。それほどの歴史がありながら、その味に微塵も陳腐さを感じさせない、むしろ最新のトレンドのど真ん中を行っていると言っても過言ではないテイストは見事としか言いようがありません。今まで色々と食べ歩いた中では間違いなく5本の指に入る逸品だと思われます。地理的に遠すぎるのが残念でなりません。

地図

by emozione | 2009-01-26 12:10 | 東北