いろは食堂@岩出山

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 東北新幹線やまびこ50号で盛岡を出発して宮城県に向かいます。途中古川駅で途中下車してJR陸羽東線に乗り換えて岩出山駅に向かうつもりでしたが列車の接続時間が1時間6分、岩出山駅への到着が12:30となります。嫌な予感がしたので思い切って駅前からタクシーで向かうことにしました。片道4000円弱、痛い出費ですが結果的にはこれが功を奏しました。向かった先は、知る人ぞ知る片田舎の行列店「いろは食堂」本店です。この日はちょうど日曜日のお昼前、駅前のタクシーで「岩出山」と告げて乗車、途中「どこ行くの」「ラーメン屋っす。いろは食堂」「いろは食堂なら古川の市内にもあるよ」「いえ本店にいきたんです」などと会話しながら、車は市街地を出て郊外へと向かいます。「色んなとこ食べ歩いてんの?」「ええ、沖縄から北海道まで・・」運ちゃんもラーメン好きだとかでラーメン談義をしながら着いた先は人気の無い小さな駅前の集落、果たしてこんな所に行列店が有るのかと思いながら更に細かい路地に入ると、目の前の広い駐車場に何やら行列がありました。「ここです。」と告げられお礼を言ってタクシーを降車、早速行列の最後尾に並ぶことにしました。
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 日曜日と有って、行列は全部で30~40人ぐらい、「ここを先頭に」と書かれた場所を先頭に離れの軒下に沿って駐車場にはみ出す勢いで続いています。しかし都会の行列と違って皆、何となくのんびりムードで行列を楽しんでいるようにさえ見えます。それとなく話に耳を傾けると、庄内あたりから来たと思われる人、埼玉から来たと思われるカップルなど流石は有名店、しかし多分松江から来た自分が優勝に違いないと心の中で勝利者宣言をしながらしばし行列を楽しみます。
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 気温は低いものの日差しが暖かい小春日和、行列をよそ目に何匹かの猫が庭を散策しています。遠くから肉を揚げる香ばしい匂いが漂ってきます。そんなのんびりムードを劈くように、行列の先にある店の入口から「次何名さま?」という慌しいおばさんの声が響きます。そうです、いろは食堂の名物おばさんです。列も残りも少なくなった頃、おばさんが店の外に飛び出してきて行列の人数を数え始めます。「今日は忙しかったからなあ。」というような事をつぶやきながら、どうやら今並んでいる人までで麺が終了となるようです。時刻を見ると12時10分、タクシーに乗っていなければアウトでした。その後も何組かの来店がありましたが皆諦めて引き返して行きます。その姿を横目に待つことしばし、ついに順番が・・「次何名さま?」「一名です」「どうぞ」の声に招かれて入店、すぐにおばさんの仕切りが始まります。
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 「貴方はここ。貴方達は奥のテーブル、外側の通路を通って下さいね。貴方はこの人の横・・・」とまるで交通管制官のようです。この店ではこのおばさんの指示には絶対服従が掟、客も皆それを承知で女王様に従うマ○ヒストの様にそれを楽しんでいる様です。従ってオーダーも勝手に言ってはいけません。おばさんがオーダーを取りたい順に、(これが決して入店順ではない)オーダーを取っていきます。この時私は実はオーダーを悩んでいました。普通の「らあめん」にするか「特製いろはらあめん」にするか。おばさんはそれを見透かしたのでしょうか、後から入った客の注文をどんどんとっていくのにこちらには聞きに来てくれません。決して忙しいからではなく一瞬何をするでもない時間が訪れてもこちらには来ません。忘れられたか?と思い手を上げてアピールしようとすると、「分かってる、分かってる」と窘められ、それでもすぐに来てくれません。諦めかけているとようやくオーダーを取ってくれました。普通の人より余分に女王様の愛のムチを味わう事ができたのは幸運だったのかな。
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 オーダーしたのは「特製いろはらあめん」です。通常は初めての店ではデフォのメニューをいただくのですが、恐らく一生の中で二度と行く機会が無いだろうという店ですので今回だけはこの店独自の特色あるメニューをいただくことにしました。らあめんを待つ間付け出しの漬け物が配られます。これをチビチビやりながら待つ事しばし、特製らあめんが出来上がりました。
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 特製いろはらあめん(900円)です。濃い目の醤油系スープにメンマとネギ、そして特製ならではのパーコーと呼ばれる揚げた豚肉が乗ります。このパーコー、焼けばそのままポークステーキになる様な厚みのある豚肉を一枚まる揚げにしてあります。よくグローブ状と例えられるように掌状に切込みが入れて有りますが箸で切るのは不可能でそのまま、まる齧りにしなければなりません。また、相当の油分を持っていてこれがスープに浸み出してコッテリ感を強調しています。そもそものスープベースは鶏のようですがこの豚脂と揚げ油によってかなりコテコテ凶暴なスープに変貌しているようです。麺は細めのストレートで白っぽくやや扁平した印象です。よく冷麦に例えられますが、尾道系の麺に近い印象を受けました。
 考察としては、辺鄙度、行列、おばさんのキャラ、レトロな建物の雰囲気、パーコーのインパクトとアトラクションとしての要素には事欠かない、それが人々の心を鷲掴みにして長く人気を保っているのではないのでしょうか。そんな印象のお店でした。

地図
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by emozione | 2009-01-25 11:40 | 東北